蓬莱山蒔絵小硯箱

2023.11.29

蓬莱山蒔絵小硯箱

蓬莱山の意匠が蒔絵であらわされた、小ぶりながら華やかな硯箱です。蓬莱山とは、古代中国の神仙思想に説かれる霊山で、東の絶海に位置し、仙人が住み不老不死の薬や果実があるとされます。

蓋表には、亀の背にそびえる蓬莱山、蓋裏には波高い海と港に船が漂着する様子、箱内部には松と波千鳥があらわされます。山々や亀、松など主要なモティーフは、漆や炭粉で絵柄を盛り上げ立体感を出す高蒔絵(たかまきえ)という技法が使われています。山肌や雲には、小さな方形に切った金銀の薄い板を貼り付け幾何学的な文様が施されます。蓋の表裏には合わせて五羽の鶴が、彫刻した金属を貼ってあらわされています。余白はすべて黒漆地に金粉を蒔いています。

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