2023.11.01
3幅ともに、掛軸の表具部分を描く「描表装(かきびょうそう)」で、まるで画面の中からモティーフが抜け出てくるような工夫がされています。中央幅の幽霊は下半身が描かれず、ぼんやりと浮かび上がってきたかのようです。左幅は狂言の『釣狐(つりぎつね)』に登場する狐が化けた白蔵主(僧侶)で、右幅は正体を見破り、白蔵主に化けた狐を食い殺した仔犬と考えられます。
作者の長澤蘆雪(1754~1799)は京都の絵師・円山応挙(まるやまおうきょ)の高弟で、応挙がよく描いた足の無い幽霊や丸い仔犬といった画題を受け継いでいることがうかがえます。
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