呉春下絵枝垂桜小皿

2024.02.24

呉春下絵枝垂桜小皿

鉄分を多く含む釉薬を使う「銹絵(さびえ)」の技法で枝垂桜を描いた、20枚1組の小皿です。裏には「月渓(げっけい)」と署名があり、江戸時代中期に京都や池田(大阪府)で活躍した絵師・松村月渓こと呉春(ごしゅん、1752~1811)が下絵を担当したことが分かります。呉春は、与謝蕪村(よさぶそん)の軽妙な筆致と円山応挙(まるやまおうきょ)の写生画法を融合した画風を確立しました。

高台内には「粟田」と読める印が捺されます。粟田焼は、江戸時代の初めから京都の粟田口一帯(京都市東山区)でつくられた京焼の総称で、時代に応じて様々なやきものが作られました。この皿のように、黄色味を帯びた釉薬の表面に細かいヒビがあらわれ、銹絵や色絵が施されるものは、18世紀の粟田焼の特徴です。

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