2024.03.29
薄浅葱色の地に、刺繍と銀の箔で模様をあらわした能装束です。色糸や金糸を使った刺繍で、水辺に咲く燕子花と、上下にたなびく雲の輪郭をあらわします。背中と両袖には、燕子花の花丸文があしらわれます。雲中の枝垂柳(しだれやなぎ)と青海波(せいがいは)の文様は、型紙を用いて糊を置き、銀箔を乗せて接着する技法であらわされています。
縫箔は若い女や公達の役などを演じる際、多くは表着(うわぎ)の下に、両袖を通さず後ろへ垂らし腰に巻き付けて着用します。この縫箔は特に『伊勢物語』の第八段「東下り」に取材した演目『杜若(かきつばた)』などで用いられます。
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