2023.11.29
道教の修行の聖地として知られる、中国・蘇州(江蘇省)の天池山が描かれています。山が奥に向かって連なり、左右の深い谷底には水が流れ家屋が配されます。山々の複雑な積み重なり、幾重にも線を重ねた山肌、様々な種類に描き分けられた樹々など、密な画面からは深く雄大な自然の迫力を感じます。
黄公望(1269~1354)は中国・元時代末に活躍した文人画家で、後世に多大な影響を与える「元末四大家(げんまつしたいか)」の一人です。江戸時代の日本でも尊崇されました。この絵はかつて多武峰談山(とうのみねたんざん)神社(奈良県)の千手院に伝来し、円山応挙(1733~1795)など様々な画家が実見のために訪れました。近代日本を代表する文人画家・富岡鉄斎(とみおかてっさい、1837~1924)らが寄せた文章などが付属しており、明治時代以降のこの絵の評価を伝えます。
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