島物鶴首茶入 銘 富士見西行

2023.11.29

島物鶴首茶入 銘 富士見西行

舶来した陶器のうち、産地不明のものを島物と総称します。鶴首とは、首が長めにつくられた形を指しています。黒く発色した釉薬は、片側上方のみ赤茶色を呈していて味わいがあります。底には、糸を使ってろくろ台から切り離したときにできる渦状の模様が見られます。

千家3代・元伯宗旦が下方に「ふしみ西行(花押)」と記しています。諸国を旅して歌を詠んだ平安後期の僧・西行(1118~1190)が旅の道中で富士山を眺める姿は「富士見西行」といい、画題として好まれました。この茶入の形を、首を伸ばして富士山を見る西行に見立てたのかもしれません。

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