小野小町坐像

2023.11.01

小野小町坐像

優れた才覚を誇った平安時代の女流歌人・小野小町(生没年不詳)が卒塔婆に座り、ぼろを纏った姿であらわされます。この像は謡曲『卒都婆小町(そとばこまち)』に取材しています。倒れた卒塔婆に腰かけていた老婆を見咎めた高野山の僧侶が説法をはじめると、逆に老婆にやり込められてしまい、驚いて名を尋ねると小野小町の成れの果ての姿であった、という筋です。

松平定信(まつだいらさだのぶ、1759~1829)が編纂した古物目録である『集古十種(しゅうこじっしゅ)』や『古画類聚(こがるいじゅう)』には本像と思われる、内山永久寺(うちやまえいきゅうじ)が所蔵する像が掲載されています。内山永久寺は現在の奈良県天理市にあった寺院で、明治時代のはじめに廃寺となりました。

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