古染付雲堂手花入

2024.03.30

古染付雲堂手花入

口が小さくすぼまる瓶子(へいし)形をしています。描かれるのは、雲が渦巻く空の下、中国・春秋時代の琴の名手・伯牙(はくが)が友人を訪ねる場面です。

青色の顔料で絵付けした白磁器は、中国・江西省の景徳鎮窯(けいとくちんよう)において元時代に創始され、現在に至るまで作られています。このうち「古染付」は、明時代末期を中心に焼かれた粗雑な作行きの器を指し、同時期(江戸時代初め)の日本にもたらされ茶人に古拙さを愛玩されました。この雲堂手花入は、箱には古染付と書かれていますが、実際は古染付より前の時代に制作されたと考えられます。渦巻状の雲と人物などを描く「雲堂手」の多くは、元時代の表現様式を踏襲して明時代初め~中頃に作られたためです。

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