赤銅臥牛香炉

2024.02.24

赤銅臥牛香炉

外箱蓋の書付
内箱蓋の書付

牛の背に牡丹の折枝が挿された筵(むしろ)が乗せられ、この部分が香炉の蓋となっています。中に香を入れると、筵にあいた穴から煙が出るようになっています。

香炉が納められた箱の書付から、藤田傳三郎(1841~1912)の古稀祝いに、藤田組の職員が贈ったことが分かります。傳三郎は、実業家として大阪財界で活躍する一方、古美術への造詣が深く、藤田美術館コレクションの礎を築きました。傳三郎の干支である牛に、百花の王である牡丹を添えた、おめでたい品です。

東京美術学校(現・東京藝術大学)の教員3名が制作しました。日本の優れた美術工芸家である帝室技芸員にも選出された石川光明(1852~1913)が原型彫刻を、1900年パリ万博で金賞を受賞した大島如雲(1858~1940)が蝋鋳型を、ヨーロッパに留学して金工を研究した津田信夫(1875~1946)が鋳造を担当しました。

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