墨梅図

2024.02.24

墨梅図

老幹から新枝を一直線に伸ばし花を咲かせる梅を、水墨で勢いよく描いています。花弁には淡墨が塗られ、紅梅として描いていることが分かります。百花の魁(さきがけ)と謳われる梅を墨一色で描く墨梅図は、中国の宋代のころに始まり、中国絵画の主要なジャンルとなりました。鎌倉時代以降、日本にもたらされ、特に室町時代の禅宗文化のなかで珍重されます。右上に記された東福寺132世の雲章和尚(1386~1463)による詩文と、千宗旦の高弟・藤村庸軒(ふじむらようけん、1613~99)による箱の書付は、この絵の作者を墨梅の名手である南宋時代の文人画家・楊補之(ようほし、1097~1169)と伝えます。現在では、中国絵画をもとに日本で描かれたと考えられています。

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