重文 古今和歌集断簡(筋切 通切)

2024.02.01

重文 古今和歌集断簡(筋切 通切)

元々上下2冊の冊子本だったものの一部です。装飾された紙に縦の「筋」が引かれたものを「筋切」、全面に「簁(とおし、目の粗いふるいのこと)」のような模様が見られるものを「通切」と呼びます。筋切と通切は元々、表裏両面に文字が書かれた1枚の紙でしたが、それを剥いで2枚にしています。筋切は、横方向に罫線が引かれた紙を回転させて使っています。

 作者は藤原公任(ふじわらのきんとう、966~1041)と伝わりますが、実際には1100年代初めの写本と考えられ、藤原定実(ふじわらのさだざね、生没年不詳)が書いたと推定されます。柔らかく、繊細な筆遣いが特徴です。また、連綿体で流れるように書く部分と、1字ずつを切り離して書く部分とがあり、全体の調子に変化を付けながら書いていたことがわかります。

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