国宝 玄奘三蔵絵第12巻

げんじょうさんぞうえ

National Treasure, Xuanzang Painting, Vol. 12

高階隆兼(たかしなたかかね)

鎌倉時代 14世紀

中国・唐時代の高僧、玄奘三蔵(600/602~664)の生涯を描いた絵巻の最終巻です。玄奘は仏道修行のために厳しい旅路の末仏教の本場・インドに至り、修行するだけでなく数百巻もの経典を中国に持ち帰り、大規模な翻訳事業もおこないました。
ここでは2つの異なる場面を1つの画面に描く、異時同図法が用いられます。右の部屋は玄奘の看病をしていた僧が見た夢の場面です。白い蓮の花を持った大きな僧が2人おり、病気になったことで罪が消えたことを玄奘に告げます。玄奘は喜び、脇息(きょうそく)に寄りかかって合掌します。左の部屋は一夜明けた現実の世界で、玄奘が亡くなる場面を描いています。右腕を枕にして横たわる玄奘の周りに多くの僧が集まり、目元を袖で抑えながら泣いたり、人目をはばからず大声をあげたり、それぞれ悲しみに暮れています。
作者の高階隆兼は宮中の絵画制作を引き受ける絵所(えどころ)を率いた絵師で、極めて優れた技術をほこりました。