一遍上人像

いっぺんしょうにんぞう

Portrait of Ippen Shōnin

南北朝時代 14世紀

 

一遍(1239~1289)は鎌倉時代に活躍した僧侶で、踊念仏で知られる時宗(じしゅう)の開祖です。全国を巡って布教したため、遊行上人(ゆぎょうしょうにん)とも呼ばれます。浅黒い肌、長い頭、ほりの深い顔立ちが一遍の肖像の特徴です。一遍は右側に書かれた名号(みょうごう)「南無阿弥陀仏」の六字に向かって立ち、名号を唱える口は歯が見えるほどに開き、鋭い眼光をみせています。合掌した手には念仏札や数珠を持ちますが、これは諸国を練り歩きながら札を配った姿を象徴しています。
この絵を納める箱には「岩田越(いわたごえ)」と書かれた貼札があります。和歌山県を流れる富田川の中流をかつて岩田川といい、熊野詣の際に越える禊(みそぎ)の川とされていました。一遍がこの川で衣の袖をすすいだという伝承から「岩田越」とされたようです。