大江山酒呑童子絵巻 下巻

2023.11.01

大江山酒呑童子絵巻 下巻

 

大江山に住み、都の姫をさらうなどの悪事を働く酒呑童子を、源頼光(みなもとのよりみつ、948~1021)が部下の四天王を率いて退治するという物語を絵画化した絵巻です。展示しているのは上中下の三巻に分かれたうちの下巻です。

下巻は頼光らの策略によって酒呑童子が毒酒を飲まされて眠っている場面から始まります。眠っている間に手足の自由を鎖で奪い、首をはねることに成功しますが、飛んだ頭だけで襲い掛かり、頼光の頭に噛みつきます。仲間の兜を重ねて被っていたため、頼光は事なきを得ました。酒吞童子の首や脚部、切り伏せられた鬼たちからは血飛沫が舞い、物語のクライマックスを極めて凄惨に、印象的に描き出しています。頼光たちはさらわれていた姫たちを解放し、倒した証として酒吞童子の首を京まで持ち帰りました。

作者の菱川師宣(1618~1694)は浮世絵の最初期を代表する画家で、版画、肉筆絵ともに多くの作品が残ることから、その人気ぶりが知られます。この絵巻の奥書には「元禄五 壬申 四月」とあり、師宣の晩年、1692年に制作されたことがわかります。

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