吉原通図

2023.11.01

吉原通図

2人の男が隅田川を上って遊郭・吉原へと向かい、遊興の様子を描いた絵巻です。前半は吉原までの道中を、やや遠くからみた視点であまり色を用いずに夜を表現しています。後半は打って変わって視点を近づけて、色彩豊かに描き出します。特に女性たちの着物は鮮やかで、白く塗られた肌と相まって艶めかしさを感じさせます。絵巻の終わりには同衾(どうきん)する男女が描かれ、横に置かれる屏風には「鳥文斎栄之」と、あたかも屏風の作者であるかのように、この絵巻の作者の署名が記されます。

 鳥文斎栄之(1756~1829)は武家出身の浮世絵師で、はじめ狩野栄川院典信(かのうえいせんいんみちのぶ)に学び、「栄」の字を譲られました。のちに浮世絵を描き始め、隠居後に本格的に絵師として活動しました。

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