歴史ある古い裂地を150種類ほど貼り合わせたアルバムです。
露のたまる瑞々しい蓮の葉が絞り染めであらわされた裂が貼られています。白絹地に緑や紫、縹(はなだ)色の図案化された蓮の葉が点在しており、配色や構図にデザイン性の高さがうかがえます。ところどころに絹地の織糸をすくった縫い絞りの麻糸が残っています。
辻が花染とは、桃山時代を中心に流行した染色技法です。模様の輪郭を糸で縫い絞って、その部分を竹皮と油紙でかたく包んで染色することで模様をあらわし、さらに描絵や刺繍などを施すこともあります。桃山~江戸時代初期にかけて描かれた武家の女性や若者の肖像画では、このような模様の着物をまとっていることが多く、当時辻が花染めの技法がよく使われていたことがわかります。