国宝 玄奘三蔵絵 第11巻

げんじょうさんぞうえ

[National Treasure] Illustrated Life of Tripitaka Master Xuanzang

高階隆兼(たかしなたかかね)

鎌倉時代 14世紀

中国・唐時代の高僧、玄奘三蔵(600/602~664)は、インドへの長く厳しい旅の末に経典を持ち帰り、翻訳して教えを広めるという一大事業を成し遂げました。そうした玄奘の生涯が全12巻の絵巻に仕立てられています。第11巻では、玄奘が漢訳を手がけた数々の経典のなかでも最大級のボリュームを誇る『大般若経』600巻の翻訳を終えます。完成を祝う供養において、『大般若経』から光が放たれ、集った人々は涙を流しながら合掌しました。

絵の様式から、鎌倉時代の宮廷で絵所預(えどころあずかり)を務めた高階隆兼(たかしなたかかね、生没年不詳)が描いたと考えられます。奈良・興福寺大乗院が秘蔵し、門主交代の時に新門主だけが見ることを許されました。開かれる機会が限られていたため、傷みが少なく、彩色も制作当時のまま鮮やかに残っています。