国宝 両部大経感得図

りょうぶだいきょうかんとくず

[National Treasure] Divinely Inspired Reception of the Two Great Sūtras of Esoteric Buddhism

藤原宗弘(ふじわらのむねひろ)

保延2年(1136)

 

 

両部大経とは、密教で重要な『大日経』と『金剛頂経』を指し、これらを「感得」すなわち手に入れた説話を描いています。右は、インドの僧侶・善無畏(ぜんむい)が金栗王塔(こんぞくおうとう)のもとで念じたところ、文殊菩薩の力によって大日経が空中に現れた場面です。善無畏が雲を仰ぎ見て経を読み上げ、従者が書き留めようと筆に墨を含ませています。左は、龍猛(りゅうみょう)が、南天竺の鉄塔に納められている金剛頂経を得るため、経典の守護神と対峙する場面です。龍猛は7日間も経を唱えながら塔の周囲をまわり、ようやく塔への立ち入りを許されると、金剛頂経を暗記して教えを広めたといいます。いずれの説話もインドを舞台としていますが、桜や柳、紅葉する木々など、日本の景物を用いながらのびやかにあらわされています。この絵は、奈良県天理市に存在した内山永久寺真言堂に伝わったものです。明治7年(1874)に同寺が廃寺となったのち、明治37年までに藤田家が入手していたことがわかっています。