ART EXPLORATION

館長藤田のアート探訪_04

旧 乾邸

 

今回は神戸市にある「旧 乾邸」。

乾汽船の創業者である4代目乾新兵衛こと乾新治の住宅として建てられました。

乾新治の没後に住んだ乾豊彦は、茶湯や書、能楽などにも造詣が深く、また戦後に広野ゴルフ場を再建させており、茶湯界やゴルフ界でも活躍されました。

 

建築家は、19〜20世紀の日本を代表する建築家、渡邊節。

大阪ビルヂング(現在のダイビル)や商船三井ビルディング、広野ゴルフ倶楽部クラブハウスなどが知られ、彼の建築事務所出身者には、後に世界でも評価された村野藤吾らがいます。

丁寧な石造りの車寄せと玄関。

 

 

玄関から入って階段を上がると巨大な手織りのタペストリーが!

 

 

手摺りの彫刻も美しいのですが、何より時代による艶が何とも言えず、、、
階段を上から見るのが昔から好きです。

滑りやすそうではありました。 笑

 

 

ゲストルーム。

シャンデリアといい、調度品といい、素敵としか言葉が出ません。

一番奥にかかっている絵画は、昭和に活躍した神戸の画家、小磯良平の作品です。

 

 

これはゲストルーム横の階段と手摺りなのですが、壁の格子と階段の斜角、手摺りの模様が調和していて、ついつい写真を撮ってしまいました。

 

 

本当に細かいところまで選び、考え抜かれています。

例えば天井の金具が花と葡萄であったり。

 

 

通気口が青海波や格子など、ひとつひとつ凝っていたり。

 

 

しかも一部は重なり合うように作られていて、洋館の中に和の雰囲気が!

 

 

この和洋折衷、近代モダニズム建築の渡邊節らしさかも知れません。

 

 

外壁の石の組み方もモダンで、美しいものでした。

 

最後に庭からの全景。

見晴らしの良いバルコニーや開放的なテラスのある、素敵な庭園でした。

この「旧乾邸」、現在は神戸市の所有となっており、市の指定文化財になっています。

 

年に数回は一般に公開(抽選)しているほか、たびたび映画やドラマの撮影にも使われているので、目にする機会があるかも知れません。

渡邊節や職人たちの並々ならぬデザインへの想いが感じられる、阪神間モダニズムを象徴する建物です。

 

 

旧乾邸

神戸市東灘区住吉山手5−1−30(通常非公開)

https://www.city.kobe.lg.jp/a44881/kanko/bunka/bunkazai/estate/bunkazai/syokai/kyuuinuitei.html

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